カテゴリNo.1ブランドをさらに成長させるには。ミツカンとBloom&Co.が挑む、新たな価値創造

第一回 Bloom&Co.と取り組んだ、ミツカン マーケティング組織のさらなる強化


1804年創業と、長い歴史を誇る株式会社Mizkan(ミツカン)は、「ポン酢」や「食酢」「鍋つゆ」などのカテゴリNo.1ブランドを多数擁する日本有数の食品メーカーだ。そのミツカンが、さらなる進化を遂げようと、マーケティングケイパビリティの強化に乗り出している。そしてパートナーに選んだのがBloom&Co.だった。

2023年3月より、ミツカンの執行役員 日本+アジア事業 マーケティング本部長に就任し、マーケティング変革を牽引する槇亮次氏は、かつてネスレ日本において長年マーケティング分野で活躍。Bloom&Co.とのタッグはその頃からだ。

今回は、槇氏と、旧知の仲のBloom&Co.彌野、Bloom&Co.でミツカンのご支援を行っている内保、坂井の4人が、本質的なマーケティングに欠かせない顧客インサイト起点のアプローチと、マーケティングのさらなる強化で切り拓くミツカンの未来について語った。

出会いは問い合わせフォームから

:Bloom&Co.との出会いは2016年。彌野さんの取材記事を読んだことがきっかけでした。「コミュニケーションのありかた」についての話に共感して、彌野さんと話をしてみたいと思ったんです。「Bloom&Co.」と検索して、問い合わせフォームから連絡しました。

彌野:私は年末休みで旅行中だったんですよ。まだ創業間もない頃でしたし、槇さんからの問い合わせにびっくりしました(笑)。即返事をしたのを覚えています。忘れもしない、12月26日、北海道内を移動中のバスの中でした。


:お返事をいただき、初めは気軽に食事をしながら語り合いましたね。マーケティングの価値観もそうですが、同い年で同じ時代を過ごしてきた共通点も多く、ご縁を感じました。初対面で「一緒にやりましょう」と盛り上がったのを覚えています。

彌野:槇さんのフットワークの軽さや、考え方の柔軟さは、その頃から変わりませんよね。その後すぐにご一緒できるとは思いませんでしたから。

槇さんとの印象的な仕事の一つが、バレンタインのキャンペーンです。新たに若年層へアプローチするために、これまでになかったような斬新な企画をつくり、デジタルやソーシャルメディアをフル活用して訴求した結果、5億PVを超える大成功を収めました。

:あれはインパクトがありましたね。私が海外転勤になったこともあり、翌年は同キャンペーンができなかったのですが、お客様から「今年はバレンタイン企画やらないんですか」と問い合わせがたくさん来ました。

彌野:キャンペーンなのに「ロス」を感じさせるって稀なことですよね。最高の結果に加えて、何より楽しかったですね。その後も定期的に案件をご一緒しましたが、槇さんは2023年3月にミツカン社に転職されました。新天地でも当社に声をかけてくださったのは、どんな理由だったんですか?

高まる組織活性化やマーケター育成のニーズ

:マーケティングの成果と、マーケティング組織の成長を同時に実現したいと思ったときに、彌野さんの顔が浮かびました。

長らくマーケティングの仕事をしてきて思ったのが、人を育てるのが一番難しいということなんです。商品やブランドを育てるのも、もちろん簡単じゃない。ですが長く経験を積むと、一定のセオリーが見えてきます。でも人は違うんですよね。

顧客起点のマーケティングの考え方をミツカン内に伝播させ、組織を底上げしたいと考えました。組織全体がレベルアップしたら、私一人では達成できないこともできるはずです。


彌野:そうだったんですね。ここ最近、ご支援先から、マーケティング組織が成長したと喜んでいただくことが増えました。当社は提案型ではなく、伴走型で支援をしています。マーケティングの理論やフレームワークを実践に落とし込むことを大切にしている。その結果、まさに槇さんが望まれているような、マーケティング組織の力の底上げができているようです。

永遠に外部パートナーに発注し続けるのは、サステナブルではない。だから、ご支援している企業には、できるだけ早く自走して頂くのが理想的だと思っています。もちろん、ただ理論やフレームワークをお教えするだけでなく、同時にワンチームとして結果もしっかり出すことは不可欠です。

:ハウツーを学べても、マーケティングの成果が出ないようでは意味がない。結果にコミットしつつ、副次的効果として組織成長に繋がる支援はとてもありがたいです。

内保:そこで、私とチームがコーチングを担当し、約80人のマーケティング担当者が参加するセッションを行っています。具体的なセッションの内容は、ミツカンの代表的ブランドの1つをそのブランド担当者に伴走しながら、顧客戦略(戦略的ターゲット顧客の選定、ターゲットインサイトの特定と独自価値コンセプト(UAV)の設計)とそれに基づく実行プランをつくり、その過程を参加者はオブザーブします。その後、参加者は、学んだフレームワークを活用して自分の担当商品の戦略策定を行い、私たちがそこへフィードバックを提供します。ミツカン独自のフレームワークに昇華し、今後社内で他の商品やブランドでもできるようになっていただくことが目標です。


ミツカンさんとのお仕事は、私たちもアイデアや刺激を貰えてとても楽しいです。取り組みを始めてまだ3ヶ月ですが、御社内では、何か変化はありましたか?

:いろいろありますが、技術開発のメンバーが、Bloom&Co.さんのフレームワークを使って新しいアイデアを出してくれたことには驚きました。既存商品のアプローチ方法を変えることで、新たな価値を提供できるのではないかという提案でした。

マーケティングのメンバーだけじゃなく、プロダクト側にもマーケティングの意識が浸透し、組織に変化が起こりつつあります。

彌野:素晴らしい話ですね。ミツカンさんのように、長く続いている企業は、そもそもの商品力が高いんです。No.1ブランドを複数お持ちで、市場の認知もすでに確立されています。そういった企業を、マーケティングの力でさらに一段押し上げるためには、プロモーションの強化だけではなく、プロダクトのチームを巻き込むことが重要です。

しかし実際には、プロダクトとプロモーションに距離があったり、ときに対立してしまっている組織もあります。同じ顧客理解を共有し、共通言語で話せると強いですよね。

:まさにそうですね。今日明日の売上に右往左往するのではなく、同じ未来を目指すことが大事です。Bloom&Co.さんが、視点や考え方を教えてくれたことによって、ミツカンの中で共通言語が増えてきたように感じてます。

私がミツカンに入って驚いたのが、技術開発と企画が同じマーケティング部署内にいることです。これも組織の強みだと思っています。

坂井:珍しい組織体制ですよね。私自身、P&Gに入社した当初は研究職だったので、マーケティングの思考で製品開発を行うことは、デザイン段階から市場に出すまでシームレスに戦略実行ができる強さを感じています。今回のご支援を通じて、ミツカンさんのプロダクトや技術開発を担当される方々が、マーケティングのフレームワークに興味を持ち、理解した上で、ワンチームとしてブランド構築ができることは素晴らしいと思います。距離が近いから意識の統一もしやすい。これからの変化がさらに楽しみです。


内保:私たちは、培った知見を共有することと同時に、チームの一員としてどっぷり入り込むことも大事だと思っています。坂井さんと共に、ミツカンのポン酢を使った料理情報を交換したり、競合の商品を試したりしています。

坂井:顧客起点を自分ごと化するためにも、ときには主婦目線で、また忙しい共働き家庭の一員として、仕事と切り離して商品を使ってみるんです。そうすると、もっと気付けることがある。主観と客観の行き来をするのも、外部パートナーだからこそできることだと思っています。

彌野:ちなみに内保さんは、マーケティングアドバイザリにおけるAI活用についても日々研究しています。

:そうなんですね。AI活用には非常に興味があります。ミツカンには膨大なレシピのストックがある。例えば、自宅の冷蔵庫の中にある食材と、チラシ情報を組み合わせてAIでレシピのレコメンドをするとか。

内保:すごく面白いアイデアですね。次のミーティングでぜひ話しましょう。

マーケティング支援の結果による、組織の変化や成長について盛り上がった第一回。
第二回では、Bloom&Co.がマーケティングにおいて最も重視する、独自価値(UAV)を中心に語り合った内容をお届けします。

(取材・文:井澤梓)

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